一般の方向けに「不登校」についてお話しました
対象は小学生の保護者
区内の小学校で、不登校についての講演会を行いました。
今年度は不登校の子どもが全国で24万人という数字が出ていたこともあり、多くの保護者の関心の高さを感じました。
不登校になっていない人に向けてお話するということ
普段は子どもが不登校になった人向けにお話しすることが多いので、まだ不登校になっていないけれども関心はある、という方向けにお話しできるのは、とても貴重な機会です。
と、いうのも、不登校になっていない方にこそ、不登校について正しく理解をしてほしいからです。
「不登校は悪いこと」
「不登校になったら大変」
「学校に行けなくなったら終わり」
「絶望しかない」
……こんな風に思わないでほしいのです。
不登校への悪いイメージが子どもたちを苦しめないよう、まずは保護者の方に不登校についての理解を深めてもらいたいと思います。
中には不登校の人、登校渋りという人も
子どもが不登校の人や、登校渋りがあって時々学校を休むという方もいたとのことです。
中には不登校のことを知られたくない、という保護者の方もいました。そんな風に思わなくてよいのですが、これも社会認識が間違っている弊害だと感じました。
講演の内容「不登校は問題行動ではない」という話から
順を追って、以下のようなことをお話させていただきました。
文部科学省の見解は「不登校は問題行動ではない」
文科省からは、「不登校というだけで問題行動としない」という通知が出されています。実は、不登校は「問題行動」ではないのです。
※義務教育の段階における普通教育に相当する教育の機会の確保等に関する法律案に対する附帯決議(衆議院文部科学委員会)
でも、実際不登校になると、多くの人は苦しんでしまいます。
子どもは自分を責めて苦しみ、保護者はどうしてよいかわからずおろおろしてしまう。学校はなぜ来られないのか、来てくれればなんとかするのに……と、困ってしまうのです。
不登校になったときの子どもの体調や行動
頭痛・腹痛・吐き気・朝起きられない。
ごろごろしている、機嫌が悪い、元気がない、お風呂に入らない、歯を磨かない、着替えない、YouTube・ゲーム・スマホ三昧……など。
元気がないので、何もできない状況です。
不登校になったときの保護者の気持ちと子どもの気持ち
保護者の気持ち
勉強が遅れる、内申点がつかない(中学生の場合)、みんな行ってるのになんで行けないのか、さぼりぐせがつく、このまま引きこもりになるのでは……など。
子どもの気持ち
自分を責めている、なぜいけないのかわからず苦しい、親に申し訳ない、絶望している、今の自分は本当の自分ではない……など。
学校の環境に合わないタイプの子もいるということ
繊細さん(HSC)・発達障害・起立性調節障害など。
発達途中の子ども身体と心の状態について
個人差はあるものの、ストレスに弱く心身共に疲れやすい。発達途中に強いストレスがあると、脳機能や体の成長にも影響します。
大人は子どもの心身について、十分な知識を持ってほしいと思います。
不登校になったときのさまざまなサポート 勉強も進学も心配ない
今は不登校への学習・心身などのサポートがたくさんあります。不登校の子に配慮した進学先もたくさんあるので、心配しすぎなくて大丈夫です。
子どもが「学校へ行きたくない」と言ったときの対処のしかた
「登校渋り」の段階で子どもは相当疲弊しています。心身の様子を見て、基本的には早めに休ませてほしいと思います。休みが長引いても、さまざまなサポートがあるので問題はありません。
せかさない、責めない、怒らない、先々の話をしない、原因探しをしない、学校の話はしない。「普通は」「当たり前」などと言わない、アドバイスをしない……など。
保護者自身の人生も大切にしてほしいこと
子どものことばかり考えて生活していると、子どもにとってプレッシャーになることも。保護者の趣味や生き方が、子どもを救うこともあります。
不登校家庭への接し方
感じ方は人それぞれ。基本的には今まで通り普通に接していればいいでしょう。
子どもが幸せな気持ちで生きていくことが何よりも大切
子どもはまだ人生の入り口に立ったばかり。今、不登校だからといって、未来が閉ざされるわけではありません。これからいくらでもリカバリーできるのです。
保護者ができることは、子どもが安心して過ごせる環境づくり、情報を持つ、愛情を伝えること。そのくらいのことしかできないと、私はこの10何年をかけて学びました。
1時間の長丁場でしたが、最後まで熱心にご清聴いただき、とてもありがたかったです。
「不登校になりそうで不安」という質問への回答
「朝になると、さみだれ登校の子どもといつもモメてしまって苦しんでいる、不登校になったらどうしようか不安でいっぱい」というご質問があったので、以下のようにお答えさせていただきました。
・行きしぶりがある時点で、子どもは相当疲れている。
・イヤイヤ学校に行くことを繰り返していると、心が傷ついてしまい元気がなくなっていく可能性が高い。
・学校に行くことより、子どもの心身の健康の方が大切。
・今はいろいろな道があり、不登校へのサポートも多いので、不登校になっても大丈夫。
最終的に各ご家庭の判断になりますが、基本は子どもの心身の健康を第一に考えてほしいと思います。
保護者のみなさんの困りごとと、校長先生にかけられた言葉
不登校になったときの相談先が知られていない
講演を終えたあと何人かの方から声をかけられ、困りごとを伺いました。不登校になったとき、どこにつながったらいいのかわからない人がまだまだたくさんいて、学校に知識を持っていただくことや広報の必要性を感じました。
校長先生の暖かいお言葉
また、最後まで講演を聞いてくださっていた校長先生からも、お声がけいただきました。
「最初は学校を批判されるんじゃないかとちょっと構えていましたが、子どもの気持ちに寄り添うことを中心にお話されていて、学校批判ではないことがわかりました。
何より子どもが幸せな気持ちでいることが大切、と伺って本当にその通りだと思いました。」
という、お言葉をいただきました。
みんなこういう校長先生だったらいいのに 笑 (中には理解のない方もいるのが現実なので……)
とてもよい機会をいただきました。また、何かの形でお役に立てればいいな、と思います。