フリースクールの授業料に補助が出るということ
東京都がフリースクールの補助に動いた
知り合いから、こんなニュースを教えてもらいました。
「フリースクールの授業料、東京都が補助倍増へ 1人最大24万円に」
フリースクールに通う子ども1人につき、最大年間24万円の助成金を用意するとのことです。
東京都の場合、フリースクールの平均利用料は4万5千円とのことなので、月2万円の補助になるということです。
フリースクールの費用が半額ほどになるのは、経済的にとても助かると思います。
まずは、東京都がここに気づいてくれてありがとう、という気持ちで感謝もしたいし評価もしたいと思いました。
ただよく読むと、まだまだもろ手を挙げてバンザイ、という状況ではないことがわかってきました。
補助が出るのは調査に協力した家庭のみ
東京都は2022年度に、フリースクールへ通う家庭の「実態調査」を始めたのだそうです。そして、その調査に協力した家庭に月1万円を支給したとのこと。
2022年度に、実質1万円の補助が出た家庭が存在した、ということです。
この金額を、2023年度には月2万円にするという予算を議会に計上したという話です。
つまり、補助が出るのは一部の限られた家庭のみということのようです。
補助が出る家庭と出ない家庭が存在するという事実
あくまでも「調査」段階……今さら調査?
予算がでるのはあくまで「調査協力」に対してです。不登校の子がフリースクールに通うのを助けるために、予算がつくわけではないのです。
もちろん、調査しないよりはした方がいいのは事実。そこは大いに評価するところだと思います。
ただ、10年以上不登校に関わってきた身としては、どうしても
「今ごろ調査? 遅すぎる……」という気持ちになってしまうのです。
ああ、こんな心の狭いことではいけない。東京都に感謝するべき。と、頭では思うのですが、心のどこかで
「今から調査? 何年も前から経済的に困ってるって言ってるんだけどな」と、思ってしまいます。。。
次々と心に浮かんでしまう不公平感
要するに、調査に参加した家庭はいいけど、参加していない家庭に恩恵はない。
つまり、経済的な問題でフリースクールに通えない家庭には、補助が行き届かないということになってしまいます。
そして、さまざまな疑問もわいてきました。
・調査協力はどこで行われているのか?
・調査対象はどのように選んだのか?
・そのフリースクールは本当に良心的な運営をしているのか?
などなど。
そもそもフリースクールに通えている子自体が少ないという現実
経済的負担が大きいことがわかったのはよかった
1万円だった予算を2万円にしようということは、ある程度実態をつかんでいただけたのかな、とは思います。
ただ、実際不登校になってフリースクールに通えているのは不登校児全体の1%程度、という話もあります。
・不登校になった子が必ずフリースクールに通うわけではない
そもそも、フリースクールに行っている人だけを対象にしているのが、ちょっと全体が見えていないという印象があります。
実際に不登校を経験していないと、そこに思いが至らないというのもなんとなく理解できますが、調査の方法はもう少し考えた方がよいように感じます。
不登校になると目に見えないいろいろなお金がかかる
子どもの健康にかかる費用や民間サービスの利用料など
でも、正直なところ、不登校になると経済的な困りごとがたくさん出てきます。給食が利用できなくなることによる食費の増加、医療費やカウンセリングの費用、塾・家庭教師・フリースクールなど民間の学習支援にかかる費用など、本当にさまざまです。
公教育が合わない子は面倒見のよい私立に行くことも
全日制の学校へ進む予定だったのが、子どもの性格に合った環境が公立学校にない場合は、私立学校を選ぶことになります。
私立を選んだ場合は、公立に通うのとは比べ物にならないほどの費用がかかります。
調査ではなく、不登校のための予算をとってほしい
行政に予算をとってもらうことの難しさ
私が主催している不登校支援団体では、何年か前からフリースクールにかかる費用の補助をしてほしいということを、住んでいる自治体にお願いしてきました。
ただ、協力してくれている区議さんから「予算を出してもらうのは、他の施策との関わりもあるのでなかなか難しい」という話を聞いていたので、基本的に「難しいとは思いますが」という接頭語をつけて、やんわりお願いしてきた経緯があります。
「調査」ではなく「教育費」としての予算をとってほしい
自治体の不登校担当者の方とお話をしたり、議員の方に行政の仕組みを教えてもらったりする中で、予算を割くのが大変なことは理解しています。
ただ、これだけ不登校の子が増えている中、のんびり調査をしている段階ではないと思うのが正直なところです。
自分の子どもを見ていても実感しますが、子どもたちはあっという間に大きくなってしまいます。
調査対象だけではなく、不登校になっているすべての子どもに、できるだけ早く救いの手を伸ばしてほしいと思います。
今回の東京都の取り組みが、今後広がっていくことを心から期待しています。